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大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)914号 判決

原告(本訴原告、反訴被告) 株式会社津田組

右代表者代表取締役 津田克己

右訴訟代理人弁護士 上田稔

被告(本訴被告、反訴原告) 上原産業株式会社

右代表者代表取締役 木村一雄

被告 国

右代表者法務大臣 稲葉修

右指定代理人 宗宮英俊

同 山下博

主文

被告上原産業株式会社は原告に対し別紙目録一記載の建物についてなされた同目録二記載の各仮登記の抹消登記手続をせよ。

被告両名は各自原告に対し金七〇万円およびこれに対する本判決確定の日の翌日から完済にいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

原告の被告両名に対するその余の本訴請求および被告上原産業株式会社の原告に対する反訴請求をいずれも棄却する。

訴訟費用中原告と被告上原産業株式会社との間に生じた本訴および反訴に関する部分はこれを三分し、その二を同被告の負担、その余を原告の負担とし、原告と被告国との間に生じた本訴に関する部分はこれを五分し、その一を同被告の負担、その余を原告の負担とする。

この判決は、主文二項に限り、原告において被告両名に対し各金二〇万円の担保をたてたときは、当該被告に対し仮に執行することができる。

被告両名において各自金三〇万円の担保をたてたときは、右仮執行を免れることができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  本訴

1  請求の趣旨

(一) 主文一項と同趣旨。

(二) 被告両名は原告に対し、各自金八五〇万円と、これに対する被告上原産業株式会社においては昭和四六年一二月一九日から、被告国においては同四六年五月一一日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(三) 訴訟費用は被告らの負担とする。

(四) 仮執行の宣言

2  請求の趣旨に対する被告上原産業株式会社の答弁

(一) 原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

3  請求の趣旨に対する被告国の答弁

(一) 原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

(三) 原告勝訴の判決に仮執行宣言が付される場合は、担保を条件とする仮執行免脱宣言。

二  反訴

1  被告上原産業株式会社の請求の趣旨

(一) 原告は被告上原産業株式会社に対し、金七〇〇万八、八〇〇円と、これに対する昭和四八年三月二四日から支払ずみまで日歩五銭の割合による金員を支払え。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

(三) 仮執行宣言

2  被告上原産業株式会社の請求の趣旨に対する原告の答弁

(一) 被告上原産業株式会社の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は被告上原産業株式会社の負担とする。

第二当事者の主張

(本訴)

一  原告(本訴原告、反訴被告)の請求原因および被告らの主張に対する答弁

1 原告は別紙目録一記載の建物(以下本件建物ともいう)を所有し、昭和四〇年九月二九日所有権保存登記を経由しているところ、被告上原産業株式会社(以下被告会社という)は同建物について同目録二記載の各仮登記(以下本件登記という)を経由している。

2 しかしながら、本件登記は次の理由により無効である。

(一) 実体上の権利関係に関する無効事由

(1) 原告の主張

原告は被告会社を知らず、もとより被告会社との間で本件登記の原因をなす根抵当権設定契約、代物弁済予約を結んだことはない。

(2) 被告らの主張に対する原告の認否および主張

① 原告が訴外梶原貴秀、同小山勝正に被告らの後記二2(一)(2)①主張のような継続的金銭消費貸借契約、根抵当権設定契約、代物弁済予約(以上の各契約を合わせて本件契約ともいう)を締結する代理権を与えたことは否認する。原告は訴外海原産業株式会社より注文を受け、自らの費用で本件建物を建築したが、同会社においてその代金を支払わなかったため、同会社に対して本件建物の引渡を了していなかったところ、同会社は原告よりその引渡を受けたものとなし、これを占有していた。そこで原告は同会社らに対して本件建物の明渡を求める訴訟(大阪地方裁判所昭和四一年(ワ)第一三〇号家屋明渡等請求事件)を提起してその後原告勝訴の判決(原告が五〇〇万円の担保をたてたときは同会社らに対し本件建物の明渡等を仮に執行することができる旨の仮執行宣言付判決)言渡を受け、右判決は昭和四五年一二月一七日確定した。かくて、原告は同会社より本件建物の明渡を受けるべく、訴外三協化学産業株式会社(以下単に三協という)との間に被告らの後記二2(一)(2)①主張のような請負契約を締結するとともに、三協の代表取締役である梶原に対し前記仮執行の保証金五〇〇万円を含む明渡しの諸費用七〇〇万円の内金六〇〇万円を第三者から借受けるべきことを依頼し、第三者から右借受金および以後右請負業務の履行に伴い必要となることが予想される借受金の担保として、本件建物につき債権元本極度額を二、一〇〇万円とする根抵当権を設定する権限を与え、それに必要な関係書類一切を右梶原に白紙のまま交付した。しかし、これは、原告が三協から昭和四五年六月一九日までに右六〇〇万円の交付貸与を受けるのと引換えに三協を権利者として根抵当権を設定し代物弁済予約を締結する趣旨のものであったところ、原告は三協より右六〇〇万円の交付を受けた事実はなく、また本件登記自体右期間経過後に経由されているから、本件登記は無効である。

なお被告会社が右梶原らに合計七〇〇万円を交付したことは知らない。

② 表見代理成立の主張について

イ 右主張事実は争う。

ロ 仮に三協が被告ら主張のように本件登記を経由するに必要な一切の書類を所持していたとしても、被告会社代表者は、前記のように、三協が原告に六〇〇万円を貸与交付するのと引換えに原告より本件登記手続を受ける旨記載された前記請負契約書を閲覧し、かつ黒岩利夫弁護士に同文書の内容の真偽につき確認していたのであるから、本件契約の真の当事者が原告と三協であったことを知っていたか、もしくは知りうる状況にあったものとみられ、従って被告会社は、右梶原らに代理権のないことを知っていたもので、いわゆる悪意であったか、あるいは善意であったとしてもその点に過失があったものというべきである。

(二) 登記手続の瑕疵に関する無効事由

不動産登記法施行細則四二条三項によれば、その本文として、所有権の登記名義人たる法人が登記義務者として登記を申請するときには、右申請書にその代表者の印鑑証明書を添付すべき旨およびその但書として印鑑証明をなす法務局が右登記手続をなす法務局と同一である場合にはその限りでない旨それぞれ規定されているけれども、大阪法務局の如く登記手続を担当する登記官において自ら右申請書類に押捺使用された印鑑と登記印鑑とを照合することが困難な場合には、同条同項本文の適用を受けて右印鑑証明書の添付を要するものと解され、大阪法務局の実際の取扱もそのようになされているところ、前記のように原告から根抵当権設定等に必要な関係書類一切の交付を受けた梶原において、原告に対し前記六〇〇万円貸与の約束を履行する気配がなく、また原告から申入れの右書類返還の要求にも応じようとしなかったため、その悪用によって不当な登記がなされることを恐れた原告において昭和四五年五月一五日大阪法務局に対し原告代表者の登録印鑑の改印届をしたにもかかわらず、その後約四ヶ月を経過した同年九月一一日、印鑑証明等の公証事務担当の同法務局登記官の印鑑照合の過誤により、右改印届前の旧印鑑を改印後もなお原告代表者の真正な登録印鑑であるとする印鑑証明書が発付され、それが本件登記申請書類に添付提出され、これに基づいて本件登記が経由された。しかして、登記申請書類に右印鑑証明書の添付を要求する趣旨を考察するに、およそ登記義務者たる者はその登記によって対象となる不動産上の権利を失うに至るわけであるから、該登記義務者の登記申請意思をその申請受付の段階で確認することが重視されるべきは当然で、その唯一の手段として右のような方法を採用するものと解される。そうすると原告代表者の現時の真正な登録印鑑に基づくことなく、旧登録印鑑をもって真正な原告代表者印とする印鑑証明書を添付してなされた登記申請書に基づく本件登記は無効であるというべきである。

3 被告らの損害賠償責任について

(一) 責任原因

(1) 被告会社

被告会社は、前記のように実体上の権利を有していないのにかかわらず、原告不知の間に本件登記を経由し、もって本件建物に対する原告の所有権を不法に侵害したものであるから、民法七〇九条により原告が被った損害を賠償する責任がある。

(2) 被告国

前記のように原告が原告代表者の登録印鑑の改印届をしたのにかかわらず、大阪法務局の印鑑証明事務担当登記官において登録印鑑の照合を誤った過失により、右改印届前の旧登録印鑑について印鑑証明書が発付され、これに基づいて本来なしえなかったはずの本件登記が経由されたものであるから、被告国は国家賠償法一条一項により、原告の被った損害を賠償する責任がある。

(二) 損害の発生

(1) 本件建物の担保価値減少による損害

原告は、昭和四五年一二月ころ本件建物を担保として他より金融を得ようとしたところ、本件登記が経由されていたため不能となった事実がある。すなわち原告は本件登記により本件建物の利用を妨げられているわけであるが、その結果被った損害の額についてみるに、本件建物の建築費は五、八三〇万円であるところ、前記根抵当権の被担保債権元本極度額は二、一〇〇万円であるから、本件登記により少くとも右と同額だけの担保価値が減少しているとみることができるうえ、右根抵当権設定仮登記のほか、これと同時に代物弁済の予約に基づく所有権移転請求権仮登記が経由されているから、原告が本件建物全部の所有権を失う危険さえあるといわねばならない。しかしながら、その反面、本件登記は仮登記の段階にとどまっており、代物弁済の予約であるといっても右は担保の趣旨のものであり、また右二、一〇〇万円の担保価値の減少は、同額分の物自体の喪失を意味しないのであるから、これらの事情を総合考察して、右損害額は七〇〇万円とみるのが相当である。

(2) 弁護士費用

原告は被告会社に対し任意に本件登記の抹消登記手続をなすよう申入れたがその応諾がなかったため、やむなく本訴の提起に及んだものであるから、本訴を提起維持するために要した弁護士費用も損害の一というべく、その額としてはとりあえず前記担保価値減少分二、一〇〇万円のほぼ七分の一五〇万円を請求することとする。

4 よって原告は被告会社に対し、本件登記が前記2の事由により無効であることを理由にその抹消登記手続を求めるとともに、被告両名に対し、被告会社については民法七〇九条に基づき、被告国については国家賠償法一条一項に基づき連帯して右3記載の損害金合計額八五〇万円とこれに対する履行期後である被告会社においては昭和四六年一二月一九日から、被告国においては同四六年五月一一日から各支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  被告会社(本訴被告、反訴原告)の請求原因に対する認否および主張

1 請求原因1の事実は認める。

2 請求原因2冒頭の原告の主張は争う。

(一) 実体上の権利関係の存在

(1) 請求原因2(一)(1)の原告の主張事実は争う。

(2) 本件契約の成立

① 代理権の存在

本件登記は、被告会社が昭和四四年一二月二〇日原告の代理人である前記梶原および小山との間で、継続的金銭消費貸借および債権元本極度額を二、一〇〇万円とする根抵当権設定契約ならびに代物弁済の予約を締結したうえ、これに基づいて経由したものである。

すなわち、昭和四四年一二月ころ、当時被告会社の代表取締役であった訴外上原武一は、かねて知合いの右小山から、「小山が取締役をしている三協は原告との間に、原告所有の本件建物の不法占拠者を退去させたうえ、爾後その管理をするという内容の請負契約を締結したところ、その執行費用(原告勝訴の判決に付せられた仮執行のための担保金その他)としてさしあたり七〇〇万円が必要であるのでこれを借受けたい。」旨の申入を受け、当時三協の代表取締役であった右梶原および原告の従業員訴外平信忠雄とも会って詳細に事の次第を聴いたところ、同人らは右上原に対し「右梶原および小山において原告から右金員の調達を一任されている。」と言い、右事情を裏づける資料として、原告の右不法占拠者等に対する明渡請求を認容した前記原告勝訴の判決正本や訴外黒岩利夫弁護士立会のもとに作成された右請負契約書を呈示し、更に「右借入金七〇〇万円のみでなく、将来継続的に借入を受けた場合の消費貸借上の返還債務を担保するため前記内容の根抵当権を設定し、かつ代物弁済の予約を締結したうえ、その登記手続をする権限を原告から与えられている。」旨言明するとともに、右梶原は右担保設定に必要な原告の実印を押捺した委任状その他一切の書類を右上原のもとに持参した。そこで右上原は、本件建物を見分し、右黒岩弁護士に連絡して右請負関係の存することを確認したうえで、昭和四四年一二月二〇日右梶原、小山を原告の代理人として前記のとおり本件契約を締結し、これが契約に基づいて本件登記を経由したものである。

そして被告会社は、後記のように、右梶原および小山に対し、本件契約締結と同時に二五〇万円、その後二ヶ月程の間に数回にわたって四五〇万円、通算して総額七〇〇万円を交付してこれを原告会社に貸与したものである。

② 表見代理の成立

イ 仮に右梶原および小山に原告を代理する権限がなかったとしても、原告は右梶原らに前記七〇〇万円の金融を依頼するにあたり、債務者の氏名、担保物件の表示、元本極度額等を記載した根抵当権設定契約書とその登記手続に必要な委任状、印鑑証明書等の書類を右梶原らに交付し、かつ右梶原らより本件契約時に被告会社に右書類を呈示したので、これによって、原告は原告名義で根抵当権設定契約等の本件契約を締結するについての代理権を右梶原らに授与したことを第三者である被告会社に表示したものというべきであり、また右梶原らは右のように表示された代理権の範囲内で原告の代理人として被告会社との間に本件契約を締結したのであるから、民法一〇九条により、本件契約の効力は原告に及ぶものといわなければならない。

ロ 被告会社は右梶原らに代理権のないことを知っていたものであり、仮に知らなかったとしても、その点に過失があった旨の原告の主張事実は否認する。

(二) 登記手続の瑕疵

(1) 請求原因2(二)の事実中、梶原が原告から金融を依頼され、そのため前記根抵当権設定等に必要な関係書類一切の交付を受けたことは認めるのが、その余の事実は争う。

(2) 前記のように被告会社が原告に貸付けた金員は、右梶原らが当初借受金全額を六ヶ月位の間に返済する旨約定していたのにかかわらず、右期間経過後もこれを返済せず、かつ借受金額も巨額になってきたため、昭和四五年九月ころ被告会社において前記契約に基づく登記手続をするよう前記小山に依頼し、同人を通じてあらためて原告の印鑑証明書の下付を受けたうえ、原告から交付されていた前記書類を使用して本件登記手続を了したものであって、右手続に原告主張のような瑕疵はない。

3(一) 請求原因3(一)(1)の事実中、被告会社が本件登記を経由したことは認めるがその余の事実は否認する。

(二) 請求原因3(二)の事実中、本件登記が存在すること、被告会社が原告の本件登記の抹消登記手続の申入に応じなかったことは認めるが、その余の事実は争う。仮に本件登記が、登記官の印鑑照合の過誤に基づいて改印届前の旧印鑑をもって登録印鑑であるとなし、旧印鑑についての印鑑証明書が発付されたことによってなされたものであるとしても、被告会社は前記のように原告との間に成立した本件契約に基づきかつ登記官の発付した真正な印鑑証明書その他の書類を使用して本件登記手続をしたのであるから、本件登記が経由されたことにつき、被告会社に故意過失のないことはもちろん、被告会社の行為と原告のいう損害との間に相当因果関係もない。

三  被告国の請求原因に対する認否および主張

1 請求原因1の事実は認める。

2(一) 請求原因2の事実中原告主張のとおり登記官の印鑑照合の誤りにより改印届前の旧登録印鑑につき印鑑証明書が発付されたこと(ただしそれが同登記官の過失にあたることは争う)、不動産登記法施行細則四二条三項が原告主張のような文言の規定であることは認めるが(その解釈は争う)、その余の事実は争う。なお原告は右細則四一条三項の解釈として、大阪法務局の場合には同項但書ではなく本文の適用があり、本件登記申請のような手続においては印鑑証明書を添付することが要求されていると主張するところ、同法務局において従来事実上右印鑑証明書の添付が行われていることは認めるけれども、それは法上不可欠の要件として同法務局より要求しているわけではなく、登記申請者において協力的に添付しているにすぎないのであり、実際右添付がないことを理由に登記申請を拒否した例はない。

(二) 被告会社は前記二2(一)(2)のとおり本件登記を経由するにつき原告に対して実体上の権利を有しているものである。

3(一) 請求原因3(一)(2)の事実中、前記のとおり大阪法務局の印鑑証明事務担当登記官が、登録印鑑の照合を誤り原告主張のような印鑑証明書を発付したことは認めるがその余の事実は争う。

(二)(1) 請求原因3(二)の事実中、本件登記の内容が原告主張どおりであることは認めるが、その余の事実は知らない。

(2) 本件建物は、その所有権の帰属および入居者の退去をめぐって、原告と海原産業株式会社との間で係争中であったいわゆる事件ものであり、かつ本件登記が経由されるよりも以前にすでに訴外津田利信、同尼崎信用金庫、同則尾鋼業株式会社を権利者とする所有権移転請求権仮登記および根抵当権設定登記(元本極度額五〇〇万円、一、〇〇〇万円、二〇〇万円)が経由され、その担保価値は著しく減少していたのであるから、仮に原告主張のように本件建物を担保とする融資依頼が不成功に終ったとしても、それが直ちに本件登記の存在に起因するものとみることはできない。

(3) 仮に原告主張のように印鑑証明事務を担当する登記官に過失があり、その過失と本件登記との間に因果関係があるとしても、これによって生ずる損害は本件登記の抹消登記手続に要する費用にとどまるというべきである。

(三) 仮に被告国に原告主張の損害賠償責任があるとしても、原告にも前記担保権の設定に要する書類等の授受につき重大な過失が存し、右過失は損害額の算定にあたって斟酌されるべきである。

(反訴)

一  被告会社の請求原因

1 被告会社は、本訴における前記二2(一)(2)記載の継続的金銭消費貸借契約に基づいて、昭和四四年一二月二〇日に、原告の代理人である前記梶原に対し、弁済期を昭和四五年三月一六日(右期日経過前ころ当事者の合意により同年九月一六日まで弁済期を延期)、遅延損害金を日歩五銭とする約定で二五〇万円を貸付け、なお同人との間に右貸付に際し被告会社の出捐した諸経費八、八〇〇円も原告において負担補填することとし、これを右貸金の弁済期に右貸金と合わせて支払をする旨約定した。

2 その後、被告会社は右継続的金銭消費貸借契約に基づき、右梶原と、同じく原告の代理人(または復代理人)である前記小山に対し、弁済期を約半年後、遅延損害金を前同様とする約定で、昭和四五年四月一五日に二〇〇万円、同年六月二日に二五〇万円をそれぞれ交付して、原告に貸与した。

3 よって被告会社は原告に対し、右貸金等合計七〇〇万八、八〇〇円と、これに対する右弁済期後である昭和四八年三月二三日から支払ずみまで日歩五銭の割合による約定遅延損害金の支払を求める。

二  被告会社の請求原因に対する原告の認否

1 請求原因1の事実中、継続的金銭消費貸借契約の成立および前記梶原が原告の代理人であった事実は否認し、その余は不知。

2 請求原因2の事実は不知。

第三証拠≪省略≫

理由

一  本訴請求について

1  請求原因1の事実は被告両名との間で当事者間に争いがない。

2(一)  ≪証拠省略≫を総合すると、つぎの(1)ないし(7)の各事実を認めることができる。

(1) 原告は昭和三八年八月三〇日海原産業株式会社から本件建物の建築を代金六、〇五〇万円で請負ってこれを建築し、昭和三九年一二月ころ完成したが、同会社において右代金六、〇五〇万円の内金四、七八〇万円の支払をしなかったため、同会社に対し本件建物の引渡を了してその所有権を移転することなく、依然本件建物を所有していた。しかるに同会社は原告から本件建物の引渡を受けその所有権を取得したとしてこれを占有していたので、原告は本件建物の所有権に基づき不法占有を理由として同会社に対し本件建物の明渡を求める訴訟(大阪地方裁判所昭和四一年(ワ)第一三〇号事件)を提起し、右請求を認容する仮執行宣言付判決の言渡を受け、控訴上告を経て右判決は昭和四五年一二月一七日確定した。

(2) 原告はこれより以前の昭和四四年一二月ころ既に海原産業株式会社に対して本件建物の明渡につき前記仮執行宣言付勝訴判決を得ていたとはいえ、同会社が第三者をして本件建物に入居させていたため、その明渡を受けるのに難渋し、三協との間でその対策を話合い、同月二〇日弁護士訴外上田稔、同黒岩利夫立会のうえ以下のような内容の請負契約を締結した。すなわち、(イ)、三協は原告のために原告所有の本件建物の不法占有者の明渡および右不法占有者のうち賃借を希望する者との賃貸借契約の締結を、原告の代理人として行ない、かつ本件建物を管理する(以下これを整理事務という)。(ロ)、右整理事務の請負代金を二、〇〇〇万円とする。(ハ)、三協は昭和四四年一二月二〇日以降昭和四五年六月一九日までの間に整理事務を完了する。(ニ)、整理事務に要する費用はすべて三協においてこれを負担する(ただし前記仮執行をするについての保証金五〇〇万円は原告において負担する)。(ホ)、三協は原告に対し整理事務が完了するにいたるまで右保証金五〇〇万円を無償で貸与する。(ヘ)、三協は請負契約に附帯して別途に原告に対し、整理事務が完了するにいたるまで一〇〇万円を無償で貸与する。(ト)、原告は三協に対し右貸金債権計六〇〇万円と請負代金債権二、〇〇〇万円とを担保するため、本件建物について、元本極度額を二、一〇〇万円とする根抵当権を設定する。(チ)、三協より原告に右貸金六〇〇万円を交付したときに、原告は、右交付と引換えに、三協に対して右根抵当権の設定登記をする。(リ)、原告の不法占有者に対する仮執行について、不法占有者において右仮執行の停止その他の措置をとって対抗したときは、三協は原告の名において不法占有者に対する損害金の請求を代行することとし、その結果収得した利益は原告と三協とで折半する等を内容とする請負契約を締結し、その旨の契約書を作成した。

(3) 三協の代表取締役である梶原貴秀は、三協には、原告に対し貸与すべき六〇〇万円に、その他の諸費用一〇〇万円を合わせた七〇〇万円の資金がないので、これを第三者から調達すべく、三協の取締役である小山勝正とともに融資先を求めて奔走したが、不動産を担保として提供しない以上、第三者から資金の調達を受けることができないので、原告に対し、前記請負契約に基づいて三協に担保を提供するよりも、むしろ三協の融資先である第三者に提供すべき旨懇請したところ、原告は、三協において第三者から金借を受けるに際し、第三者のために本件建物について根抵当権を設定し代物弁済予約を締結するなど本件建物を担保として提供することを承諾した。

(4) 梶原は右のとおり原告から本件建物を担保として提供することについて承諾を受け、更に昭和四四年一二月二〇日ころ原告から、原告の押印のみあって債権者欄その他所要事項を空白とする根抵当権設定約定書、根抵当権設定契約および代物弁済予約を原因とする本件登記の申請に必要な原告の押印のみある白紙の委任状、原告の印鑑証明申請に必要な原告の押印のみある白紙の委任状等の交付を受けたので、ここに、梶原は、個人として原告から、三協において第三者より資金の調達を受けるにあたり、原告を代理して本件建物につき、第三者との間に根抵当権設定契約および代物弁済予約を締結し、かつ右各契約を原因とする仮登記を経由しうる旨の権限を授与された。

(5) 梶原は三協の代表者として小山とともに被告会社に対し、前記請負契約書を示して融資を受ける必要性があることを説明し、被告会社と交渉したうえ、三協において被告会社から、(イ)、昭和四四年一二月二二、三日ころ三協と小山との共同振出にかかる約束手形一通を担保として二五〇万円を、(ロ)、昭和四五年四月一五日小山の振出にかかる約束手形一通を担保として二〇〇万円を、(ハ)、同年六月二日小山の振出にかかる約束手形一通を担保として二五〇万円をそれぞれ借受けた。

なお右(イ)の借受時に被告会社は、三協において負担し支払う約定のもとに、三協のために諸経費八、八〇〇円を立替え支払った。

(6) 梶原は、三協が昭和四四年一二月二二、三日ころ被告会社から二五〇万円を借受けるに際し、原告を代理して被告会社との間に、三協において負担する継続的借受金債務を担保するため元本極度額を二、一〇〇万円とする根抵当権設定契約を締結するとともに、三協において貸金債務の弁済を遅滞したときは、右債務の代物弁済として本件建物の所有権を被告会社に移転する旨の代物弁済予約を締結し、かつ被告会社に対し、被告会社の欲する時には何時でも右各契約を原因として本件登記を経由しうるように前記(4)の原告の押印のみがある白紙の根抵当権設定約定書、印鑑証明および本件登記の各申請に必要な委任状等の書類を被告会社に交付した。

(7) 三協は被告会社から前記(5)のとおり合計七〇〇万円を借受けたが、原告に対しては前記(2)の請負契約に基づく貸金六〇〇万円の内金一〇〇万円を貸付けたのみで、その余の貸付をなすことなく、他方被告会社に対しても自己の右借受金七〇〇万円の支払をしないので、被告会社は小山に諮ったうえ、昭和四五年一一月一三日さきに梶原から交付を受けていた前記(4)の各書類の空欄に所要事項を記入し、かつ被担保債務者としては原告の社名を記載し、根抵当権設定約定書(乙第一号証)を原因証書として本件登記を経由した。

(二)  前掲乙第一号証、第四号証、第六号証、第九号証には、いずれも「原告は、債権者被告会社、債務者原告間の昭和四四年一二月二〇日付金銭消費貸借契約に基づき、被告会社に対して負担する債務を担保するため、本件建物について根抵当権を設定し代物弁済予約を締結する。」旨記載せられているが、前記(一)(4)(6)(7)認定の各事実に、≪証拠省略≫を合わせ考えると、右各号証は、原告が昭和四四年一二月二二、三日ころ梶原を代理人として被告会社との間に債務者三協の債務を担保するため根抵当権設定契約等を締結するにあたり、梶原を通じて被告会社に対し、被告会社において欲するときには何時でも右契約等を登記原因として本件登記を経由しうるように、原告代表者の押印のみあって所要事項欄を空白とする白紙の書類を交付し、また被告会社はその後債務者三協より貸金債務の弁済を受けることができないため、原告との間の約定に基づいて本件登記を経由すべく、その登記申請手続を司法書士訴外宮田三郎に依頼したところ、同人は、債務者が三協であるのにかかわらず、これに反して右各号証に、債務者として原告を、その他所要事項をそれぞれ記載し作成したものであって、その記載は真実に反することが認められるから、右各号証をもって前記認定を覆えす資料となすことはできず、また≪証拠省略≫のうち前記認定に反する部分は措信しがたく、他に前記認定を覆えすに足りる証拠はない。

(三)  前記認定の事実によると、被告会社は、三協に対して合計七〇〇万円を貸与し、原告から本件建物について三協の右貸金七〇〇万円を被担保債務とする根抵当権の設定を受けて、その根抵当権と、三協において右貸金七〇〇万円の弁済を遅滞したときは右弁済に代えて原告から本件建物の所有権を取得しうる旨の代物弁済予約上の権利を取得したことが明らかである。

(四)  被告らは原告の代理人又は表見代理人である梶原及び小山と被告会社との間で金銭消費貸借契約を締結し、被告会社において本件登記の登記原因記載のように原告の代理人又は表見代理人である梶原及び小山から、原告に対する貸金を被担保債務とする根抵当権の設定を受けて、その根抵当権と、原告において右貸金債務の弁済を遅滞したときは右弁済に代えて原告から本件建物の所有権を取得しうる代物弁済予約上の権利を取得したとして、根抵当権設定契約および代物弁済予約についてのみならず、金銭消費貸借についても梶原および小山が原告のためにすることを示して被告会社との間で合意をなした旨前記認定と異なる事実を主張するが、前掲乙第一号証、第四号証、第六号証、第九号証は前記(二)説示のとおり右主張事実を認める資料となしがたく、≪証拠省略≫中右主張事実にそう部分は措信しがたく、他に右主張事実を認めるに足りる証拠はない。

(五)  そうすると、被告会社は原告から根抵当権と代物弁済予約上の権利を取得しているとはいえ、右権利は、その債務者を三協とするものであって、本件登記原因に基づく根抵当権と代物弁済予約上の権利が、その債務者を原告としているのと比較し、その被担保債権を異にする別個の権利というべきであって、結局被告会社は本件登記を経由するにつき実体上の権利を有していることは認めがたいことに帰し、被告会社は原告に対し本件登記を抹消する義務があるものといわなければならない。

よって、被告会社に対し本件登記の抹消登記手続を求める原告の本訴請求は正当として認容すべきである。

3  そこで原告の被告両名に対する損害賠償の請求について判断する。

(一)  前記2説示のとおり被告会社は本件登記を経由するについて実体上の権利を有していなかったのにかかわらず、原告の代理人梶原から交付されていた白紙の根抵当権設定約定書、委任状等を使用し本件登記を経由したのであるから、特別の事情のない限り、被告会社は、本件登記を経由し、原告の本件建物に対する所有権を侵害するについて故意もしくは過失があったものと推認するのが相当であるから、本件登記により、原告が被った損害を賠償する義務がある。

(二)(1)  前記2(一)(7)認定の事実に、≪証拠省略≫を総合すると、原告は三協との間の前記請負契約に基づいて三協から六〇〇万円の貸与を受ける約定になっていたので、三協の代表者である梶原を通じて被告会社に対し、原告代表者印のみ押捺されている白紙の根抵当権設定約定書、印鑑証明および本件登録の各申請に用いる委任状等の書類を手交していたところ、三協においては原告に対し一〇〇万円を貸付け交付したのみで、その余の貸付をしないので、原告は右のとおり僅かに一〇〇万円の交付を受けたのみでは、右書類によって、被告会社のために本件建物について当初約定の元本極度額二、一〇〇万円の根抵当権設定登記が経由されるのを嫌って、これを回避すべく、昭和四五年五月一五日大阪法務局に対して原告代表者印の改印届をしたことが認められ、これに反する証拠はない。

(2) 前記2(一)(7)認定の事実に、≪証拠省略≫を総合すると、被告会社は、三協において借受金七〇〇万円の支払をしないので、小山に諮って本件登記を経由すべく、小山を原告の代理人として上原信二名義で大阪法務局に対し、原告代表者の旧登録印鑑(原告代表者の改印届前の登録印鑑)について印鑑証明の申請をなし、昭和四五年九月一一日同法務局からその印鑑証明書の発行を受けたことが認められ、右のように旧登録印鑑の証明書が原告代表者印の改印届後に発行されるにいたったのは、同法務局の印鑑証明書事務担当の係員が印鑑証明の申請書に押捺されている旧登録印鑑の印影(乙第五号証に押捺されている印影)と、原告代表者の改印届後に印鑑登録原簿に押捺されている新登録印鑑の印影(本件記録に編綴されている原告の訴訟代理人弁護士訴外上田稔に対する委任状中原告名下に押捺されている印影)との照合を誤まったことに起因する事実は、原告と被告会社との間では≪証拠省略≫によって認められ、原告と被告国との間では当事者間に争いがない。

そして印鑑証明申請書(乙第五号証)に押捺されている旧登録印鑑の印影と新登録印鑑のそれとを比較対照すると、右両印影は、その字体を異にし、一見して同一性のないことが明らかであるから、印鑑証明事務担当の係員が右両印影を同一のものと誤認したことにつき過失があるものと言わなければならない。

(3) 不動産登記法施行細則四二条三項によれば、その本文で、所有権の登記名義人たる法人が登記義務者として登記を申請するときには、右申請書に、その代表者の印鑑証明書を添付すべき旨およびその但書で、印鑑証明をなす法務局が右登記手続をなす法務局と同一である場合には、その限りでない旨それぞれ規定されている。そして同項但書が適用される場合には、一般に登記申請事務担当の係員は登記申請書に押捺されている印影と、印鑑証明事務担当の係員において保管中の印鑑登録原簿に押捺されている印影とを比較照合し、右両印影に同一性があることを確認したうえ、登記申請を受理すべき義務があるものというべきところ、大阪法務局では複雑かつ多量の登記申請事務をかかえていることから、これを合理的かつ能率的に処理するため、登記申請者の任意の協力を得て事実上登記申請書に印鑑証明書が添付されていることは、原告と被告会社との間では弁論の全趣旨によってこれを認めることができ、原告と被告国との間では同被告においてこれを認めるところである。しかしながら大阪法務局における右事実上の取扱いは、同法務局の内部における事務処理上、登記申請書に押捺されている印影と印鑑登録原簿上のそれとの同一性の照合の一方法として登記申請者の任意の協力を得て便宜印鑑証明書の発行添付の方式を採用しているにすぎないと解されるから、印鑑証明事務担当の係員の過失によって発行された虚偽の印鑑証明書を添付してなされた登記申請を漫然受理して登記を実行した場合には、登記事務担当係員において右印鑑照合義務を全うしたと言えないとの非難を免れないと言わざるを得ず、結局登記事務担当の係員に前記照合義務を怠った過失があることに帰すると言うべきである。

(4) 以上のとおり、登記事務担当の係員において、その過失により、本件登記申請を受理したことが明らかであるから、被告国は、原告が本件登記を経由することにより、被った損害を賠償する義務がある。

(三)  そこで原告の被った損害額について判断する。

(1) 原告は本件登記により本件建物の担保価値が減少し損害を被った旨主張する。しかし前記2(一)(1)(2)認定の各事実に、≪証拠省略≫を総合すると、本件建物は、昭和四一年ころから原告と海原産業株式会社との間で、その所有権の帰属および入居者の退去をめぐって紛争を生じ、本件登記が経由された昭和四五年一一月二〇日現在においても、なお右紛争は継続していたこと、ならびに原告は本件登記以前である昭和四一年一月一七日訴外津田利信に対し、昭和四三年四月二日訴外尼崎信用金庫に対し、同年六月二一日訴外則尾鋼業株式会社に対しいずれも根抵当権設定登記と所有権移転請求権仮登記が経由されていることが認められるので、本件建物の担保価値は、本件登記が経由されるよりも以前に、すでに相当減少していたものというべきところ、本件登記により、更に幾許の担保価値が減少したかについては、本件において、これを認めるに足りるなんらの証拠もない。従って原告主張のように本件建物の担保価値減少による損害額は、これを認めることができない。

(2) つぎに弁護士費用による損害額についてみるに、前記認定の事実によると、被告会社は実体上の権利を有していないのに本件登記の申請をなし、大阪法務局は右申請書に添付されていた前記委任状等を審査し右申請を却下すべきであったのに誤ってこれを受理し、結局本件登記は被告両名の行為に起因し経由されたことが明らかであるところ、本件記録によると、原告は本件登記の抹消登記手続等を求めるために、本件訴訟の提起追行を弁護士訴外上田稔に委任したことが認められる。そして≪証拠省略≫によると、原告は昭和四六年二月一〇日本件訴訟につき同弁護士に一五〇万円の着手金と、本訴請求認容額の一割ないし一割五分の範囲内の報酬を支払う旨約定していることが認められるが、本件訴訟の経過およびその内容、同弁護士の訴訟活動その他諸般の事情に照らし、弁護士費用による損害額は金七〇万円の限度で相当と認める。

(3) なお、被告国は本件損害発生について原告にも過失があるとして過失相殺すべき旨主張するが、右認定の損害は弁護士費用に関するものであるから、原告の過失の有無にかかわらず、過失相殺はしないこととする。

(四)  そうすると、原告の損害賠償の請求については、被告両名に対し各自金七〇万円とこれに対する本判決確定の日の翌日から支払ずみにいたるまで民事法定利率たる年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当として認容し、その余の請求は失当として棄却すべきである。

二  反訴請求について

被告会社は原告に対し、(イ)昭和四四年一二月二〇日二五〇万円を、(ロ)昭和四五年四月一五日二〇〇万円を、(ハ)同年六月二日二五〇万円をそれぞれ貸与し、なお被告会社は右(イ)の貸付時に諸経費八、八〇〇円を出捐し、これは、原告において負担し被告会社に支払う約定であったと主張するが、右主張事実は前記一2(一)(5)認定の事実に照して認めがたいから、被告会社の反訴請求はこの点で失当として棄却すべきである。

三  よって、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条を、金員の支払を命ずる部分に対する仮執行およびその免除の宣言について同法一九六条をそれぞれ適用し、なお原告は被告会社に対し本件登記の抹消登記手続を命ずる部分についても仮執行の宣言を求めているが、右部分は、被告会社に対し意思の陳述を命ずる給付判決であって、本判決の確定によりその意思の陳述があったものとみなされるのであるから、右部分に対する仮執行の宣言は付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 西内辰樹 裁判官 東修三 山崎克之)

〈以下省略〉

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